人口減が進むなか、社会や経済の活力を維持するには女性の力を生かすことが不可欠です。しかし日本の職場はいまも女性にとって働きやすい環境ではありません。各党はこぞって「保育の拡充」などをうたいますが、財源などの裏打ちは不明確です。

 女性の力を生かすのに必要な対策は、ほぼ見えています。大事なのは実効性です。各党は選挙戦を通じ、具体的な道筋を語る必要があります。

 2015年の国勢調査の抽出速報集計によると、女性の労働力率は49.8%と、10年より0.2ポイント上昇しました。とりわけ20代後半の女性では8割を超えました。

 ただ、第1子出産を機に離職する女性はなお多く、30代の女性の労働力率は低めです。管理的な立場に占める女性の割合は1割ほど。欧米は3~4割に達します。

 今回の選挙で各党は保育サービスの拡充を掲げました。自民党は「保育の受け皿を50万人分増やす」とし、保育士確保のため新たに2%の処遇改善を打ち出しました。民進党は保育士らの月給を5万円引き上げることをうたいます。

 「保育園落ちた」という匿名ブログを契機に待機児童解消を求める声が高まったことが背景にあります。ただ、必要な財源をどう確保するかは、明確とはいえません。

 保育の拡充にはもともと、消費税の増税分をあてる予定でした。待機児童の数は高い水準が続いており、解決は急務です。

 ほかにも取り組むべき対策は多いです。硬直的な長時間労働は多くの女性にとって就業継続の大きな壁です。男性の家事・育児も阻んでおり、少子化の一因ともなっています。加えて女性は非正規で働く人が多数。能力の向上と処遇の改善につなげる工夫がいります。

 与野党は働き方改革や「同一労働同一賃金」などを掲げます。いずれも長年、解決してこなかった課題です。関連する制度は多岐にわたり、職場の意識改革もいます。選挙を通じて議論を深めてほしいです。

 女性の就労を抑制しているとの指摘がある配偶者控除や年金の第3号被保険者制度も、見直していく必要があります。女性の力を生かす環境整備は何か一つの対策だけではできません。複数の分野にまたがる、総合的な取り組みがいります。求められているのは将来を見据えた設計図です。